いしずえ

第二巻受難の巻

 「革命にはおよそ三つの段階があります。

 第一段階は武力、第二段階は政治力、第三段階は社会生活であります。

 日中事変を、アジア解放のための革命であるとするならば、日本は革命半ばにある中国民衆を助けねばならない立場に立たねばなりますまい。すなわち、中国人に出来ない面を引きうけるように、軍事行動や政治行為をやらねばならないと考えます。

 中国人のもとめているのは、中国の近代化であり、近代国家の建設であります。この建設をはばむものを、日本が除去してやらねばなりません。

 どこまでも、主体を中国におくべきで、日本の我儘勝手をやるべきではありません。

 中国の統一を計画している蔣介石を中心として、西欧の帝国主義侵略を打破し、国内で対立している軍閥、共産党、汪政権などを整理するのが、日本の英断であります。

 中国民衆の意志を無視して、彼らが日本の傀儡政権と目している汪政権をかついで統一をはかってみたところで、成功するとは思われません」

 戸松が言葉をきって一息ついても、司令官は身うごきもせず、深い沼のごとく無言のままである。強い感動をうけているらしい。

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  1. 2015/08/03(月) 15:45:16|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第二巻受難の巻

 「第三の問題は……

 司令官閣下は昔ならば殿様であり、われわれは足軽であります。

 名君というものは、民草ひとりひとりの心をしっかり掴んでいなければなりません。名君であるか否かは、民の心を知るか知らざるかによって決まるとおもいます。

 昔から民衆の心にさからって成功した英雄は一人もおりません。東条英機は売名的エゴイストであります。民を知るようにふるまっているのは、知るためではなく知られるためであります。国家存亡の時、己を大切にするようなものは賊であります。大体軍人は、否東条は戦争を知っており、戦略戦術を知っていますが戦争思想を知りません。

 閣下はちかき将来、国家の責任ある地位につく方であると思いますが、今日申上げたことを深く胸にきざんでおいていただきたいのであります。

 そして、戸松という青年が、どこかで思い責任ある命令をまっているということを、忘れないでいただきたいのであります。天下の大業は、却って小さなところにあるものであります」

 戸松は云いおわると、(日中事変解決方案)パンフレットを差出して、固く口をとざし、司令官の言葉をまった。

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  1. 2015/08/05(水) 13:20:33|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第二巻受難の巻

 彼には、東条英機がちかく退くようになるにちがいないという予感があった。そのあと総理に立つのは、梅津大将にちがいない~と、彼は判断していた。そのため、為政者にたいする希望を強張したのである。

 司令官は真剣な表情のまま、しばらく黙然として、頭の中で何事かをかんがえまとめていたようであったが、やがて大きくうなずくと、

 「実にいい話をききました。後日あなたの期待のごとく立つことあれば、あなたの考えを起用させてもらいます」

 重々しく云うと、立上って机上のベルをおし、補佐官をよんだ。そして命じた。

 「この方々は、実に尊い考えをもった方々です。司令部の手のすいている幕僚を全部集めて、講演してもらうように手配してくれぬか」

 思いがけない司令官のはからいに、戸松はきょとんとした眼で二人の軍人をみつめた。

 その彼にむかって司令官は、鄭重な態度でいった。

 「今わたくしに話されたようなことを、参謀達にも話してやって下さい」

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  1. 2015/08/06(木) 16:56:10|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第二巻受難の巻

 幕僚にたいし論陣をはる

 さっそく井上補佐官に案内されて、広い応接室に通された。

 真中に大きなテーブルがあって、椅子がずらりと並んでいる。会議室なのかも知れない。

 お茶をのみながら待っていると、やがてのこと五人の高級参謀が集まってきた。

 現地に出かけている者が多く、手のすいているのはこの五人だけだというのである。二、三日したら大部分が帰ってくるから、それまで奉天にとどまってもらえまいか……と、井上補佐官は司令官から下命された責任上気をつかっていたが、もともと司令官だけを目標にしてきたのであるから、その目的を果した上は、三日も四日ものんべんだらりと止まっていることはできない。

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  1. 2015/08/07(金) 15:54:08|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第二巻受難の巻

 「お集まりの方だけにでも我々の考えをきいていただいて、大陸政策の参考にしていただきたいと思います」

と前置して、梅津大将に話した内容をそのまま話していった。

 彼らも最後まで真剣に耳をかたむけてきいた。あとで、色々するどい質問も出たが、それにたいする回答がズバズバと敏捷に、適確にされたのに満足したのであろうか。その中の一人が、

 「あなたは非常に若くみえますが、一体何歳になられますか」

と、不思議そうな顔でたずねた。

 「三十一歳です」

 「フーム、三十一歳というと少佐の年頃だ。少佐の年配でこれだけの自信をもち、初対面で司令官をも動かす力をもっている。偉いものだ。話しだけきいていると、六十近い老成した体験者がいっているようであるが、顔をみると若々しい青年だ。その若さで高級参謀相手に堂々と論陣をはる度胸は大したものだ。敬服しますよ」

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  1. 2015/08/08(土) 13:45:21|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第二巻受難の巻

 ここでは一番年若にみえる井上補佐官が、

 「わたくしも、あなたのように自己の意見を思う存分に主張してみたいと思いますよ」

と、うらやましそうにいった。

 戸松もすかさず、

 「いや~わたくしは又、あなた方がうらやましいですよ。われわれは船にのるにしても汽車にのるにしても、たえず憲兵にきびしく取り調べられる。彼らは無知なくせに横柄でいばっていることは話になりませんからね。それは動物にたいするような調べ方ですよ。その不愉快さは、あなた方にはわからんでしょう。一度、そのあなた方のつけておられる参謀肩章をつけて、彼らの前を大手をふって通ってみたいと思いますよ」

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  1. 2015/08/10(月) 16:09:42|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第二巻受難の巻

 「なるほど……」

 参謀達は一せいにうなずき、

 「人にはそれぞれ弱点があるものだなあ」

と、愉快そうに笑った。

 「これからわれわれ二人は、朝鮮軍司令官に面会するため京城にゆくわけですが、参謀肩章を貸してもらうわけにはゆきませんから、スムースに行けるように、一つこちらからの紹介状をかいていただけませんか」

 機をとらえてぬけめなく申入れると、補佐官は簡単にひきうけて、

 「承知しました」

と、軍人らしい淡泊さで名刺の裏に朝鮮司令部補佐官、多田大佐宛の簡単な紹介文をかきつけた。そして尚、

 「朝鮮軍司令部には、後程電話でも連絡をとっておきますから」

と好意をしめして二人をはげました。

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  1. 2015/08/11(火) 15:26:01|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第二巻受難の巻

 次期総理になる人だと考えている梅津大将から誠意ある取り扱いを受けたことは、二人の意気をいよいよたかめ、勇気づけた。

 ことに、司令官が「尊い考えをもった方々だ……」

と表現したことは、財宝をもってしてはとうてい得られない感激だったのである。

 彼らは若い~アジアの運命が、急に倍増して双肩におしかぶさってきたような気がした。そして、それは、何ものにも比べられないほどの名誉であり、誇りであり、感動であった。

 海ゆかば 水つくかばね
 山ゆかば 草むすかばね
 大君のへ にこそ死なめ
           かえりみはせじ

 軍艦マーチとともに広く歌われているこの歌は、大君のために戦場に散ることを潔しとし、永遠の生命の中に没入せんとする民族の人生観をあらわしたものとして、日本人として、肚の底から叫びたいほどの共感ではあったけれど……だが、それ以前のものというべき、日本をアジアの中に、あるいは世界の中に、あやまらせないという世界倫理の立場にたって、死をとして立つことが、戸松自身の生の意義だったのである。

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  1. 2015/08/12(水) 10:01:54|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第二巻受難の巻

 八年前、東京帝大名誉教授、美濃部達吉氏のひきおこした天皇機関説は、政府や軍部が必死になって否認し排撃することによって、かえって~日本の動きにどの程度天皇の意志が働いているものか~一体両者共々、政府と国体の区別を知っているのかという懐疑を戸松の胸に抱かせていた。

 それに、天皇が日米開戦を回避するよう希望していたということも、先輩からうすうすきいている。

 日本軍部の行動がそのまま天皇の意志であるのか、どうか~

 大東亜建設の理想に矛盾した行動を、現地のあちらこちらに見聞きしてきた身には、外に敵の弾丸にむかっていくに等しい勇気をもって、内にも肉薄していかずにはいられない。

 大君の御心が、真に宇宙根源の神の心であるとするならば、それも又、大君の辺に死ぬ所以であるといえる。

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  1. 2015/08/13(木) 16:30:33|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第二巻受難の巻

 壮気全身にみち、二人はその日の中に奉天に舞いもどり、先ず鈴木長明理事に報告しそして満鉄時代の上長であった石井将男氏をたずねた。この感動を、早く一人でも多くの知人にわけあたえたい気持でいっぱいだったのである。

 石井氏は昔から青年を理解し、青年を愛する人であった。現在すでに鉄道局総務部長になっている。もともと太っ腹の男であったが、しばらく見ない中に一段と風格がそなわってきた。

 昔もさんざん手をやかした旧部下を、彼は肉親のようによろこんで迎えた。戸松の話をきくと、自分も青年のように若やいで、感激の盃を重ねつつ二人を大いに激励した。

 こういう先輩の愛情は、若者をそだてる肥である。若者はこの愛情をすいとって、先輩達が達しえなかった次元を切りひろげんとして、突きすすんでいくのである。

 京城についたのは、その翌々朝である。園田夫人を宿に落ちつかせると、ただちに二人で朝鮮軍司令部をたずねた。

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  1. 2015/08/14(金) 15:16:25|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第二巻受難の巻

 ここは又、どうしたことだというのだ~。関東軍司令部の堂々たる建物にくらべ、バラック建のようなみずぼらしさである。おまけに古ぼけている。村の役場か小学校のような感じだ。

 受付で関東軍の井上補佐官の紹介文をかいた名刺を出すと、間もなく、板垣司令官補佐官多田督智大佐が出てきた。

 彼は度のつよい眼鏡の奥から、うさんくさそうに二人を見下し、何用だ……というように、無愛想な表情をした。

 なんという不愉快ないやな男だ……とは思ったが、気をとりなおして、

 「関東軍司令部から電話があったはずですが、わたくしどもは日中事変解決法案をもって板垣司令官に面会にまいったものであります」

と云うと、多田大佐は、迷惑そうな色を一層はっきり出していった。

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  1. 2015/08/15(土) 13:47:26|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第二巻受難の巻

 「司令官は不在だ。明朝来たまえ」

 仕方なく宿にかえり、翌朝九時再びおとずれた。

 やはり不在だった。いないと云われれば仕方がない。二人はすごすごと司令部を出た。

 園田が、歩きながら小首をかしげて、

 「俺は不在ではないと思うな。補佐官の態度からおすと、彼が会わせないようにしているんじゃないかな」

 「僕もそう思うよ」

 戸松もすかさず云った。

 「明日は一つ、あらかじめ司令官の動勢をさぐってから出かけるとしよう」

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  1. 2015/08/18(火) 14:16:44|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第二巻受難の巻

 翌朝、電話で司令官の存否をたずねると、司令部に出ているという。それっ……というので宿をとび出し、かけつけた。

 ところで、相変らず多田大佐は会わせない方針を固持している。

 「司令官はたしかにおられる。又関東軍からも君達が来る前にすでに電話をうけている。だが会わせることはできん。第一、考えてみたまえ。司令官というものは忙しいんだよ。そう誰でも彼でも会えるもんじゃないよ。第二の理由は、目下戦争が停滞状態であるため、共産主義者がいかにも愛国者のような顔をしてばっこしている。うっかりそういう連中に会わせると、共産主義者の利敵行為にわれわれが協力するようになる。司令官補佐官として、軽率な態度はとりたくないから会わせないことにする」

 なるほど……考えられる理由だ。中国大陸では多くの日本人共産主義者が、中共軍の中にあって反戦運動をしている時である(野坂参三、鹿地亘等)。前線の日本軍の中には、敵陣からひびいてくる同胞の反戦放送を何度もきいた者も多い。

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  1. 2015/08/19(水) 09:47:05|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第二巻受難の巻

 日本と中国の本来性の上に、正しくアジアの理想をきずかんとする事変解決工作と~

 日本も中国も一切根こそぎ掘り返して、モスコーを中心とする共産主義による理想世界をつくらんとする謀略的反戦運動と~

 立場はちがっていても、反軍的な行動にはちがいない。

 本性をつつんでいたら、一見して愛国者か売国奴か区別はつかないであろう。

 多田大佐は、今までに得体の知れぬ人間から、何度か苦い経験をなめさせられているのかもしれない。

 彼の人格を卑俗にまで見せているあの嫌味にみちた態度は、そのためであろうと思われた。

 「多田大佐殿ッ」

 肚の底から一声よびかけると、戸松は自分の眼を指して、「わたくしの眼を見て下さい」と、カッと睨みつけた。

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  1. 2015/08/20(木) 10:16:55|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第二巻受難の巻

 「この眼を見たら、共産党であるかないかがわかるでしょう。どうです。信ぜられませんかっ」

 さすがの多田大佐も、ニタッと笑顔を見せ、「わかった。明朝九時にきたまえ。会わせてやろう」と約束した。

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  1. 2015/08/23(日) 14:15:46|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第二巻受難の巻

 応待役の高級副官に昨日までのいきさつを話して、

 「今日は会わせてやるといって約束しながら、一言も云い残さずに出かけてしまうということは、軍人としてはもちろんのこと、人間として無責任ではないかと思いますが、これをどう判断されますか……」

と云うと、黙ってきいていたその副官は、

 「わかりました。つまり司令官に会いたいということでしょう」

 軍人らしい明快な態度ですっくと立上ると、部屋から出ていった。

 五分もたたない中に再びあらわれ、自ら二人を応接室に招じ入れて、

 「間もなく司令官がお見えになりますから」

というや、さっさと扉の外に消えてしまった。

 あまりあっさりしているので、二人とも唖然として、黙ったまま顔を見合わせていると、入れかわって板垣大将がぬっと入ってきた。

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  1. 2015/08/24(月) 10:07:24|
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第二巻受難の巻

 瞬間、戸松は「おやっ」と思った。あまりにも期待はずれの名将の風貌だったからである。

 戸松が満州にわたった頃、関東軍の参謀部では板垣、石原のコンビは名声を広くとどろかせていた。

 それに、後年板垣将軍が陸軍大臣となった時、現総理東条英機は彼の次官であった。

 こうした八、九年この方の板垣司令官の高名は戸松の胸の中に、威風堂々たる武人のイメージをうえつけていたのである。

 ところがどうであろう。今眼の前に見る板垣大将は、親しみやすい田舎の村長さんといった感じの人である。

 小肥りではあるが、身体は小さい。武人らしいいかめしさも、大将らしい貫録も、どこかに置きざりにしてきたような、人間としての生地そのままの板垣征四郎氏を見ているようである。

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  1. 2015/08/25(火) 13:59:40|
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第二巻受難の巻

 無名の二人にたいしても、先輩か同輩にたいするように、くだけた取り扱いをしてくれる。親類の小父さんに会ったような感じだ。

 戸松は先ず書類を出し、梅津大将に話したような内容を説明した。

 大将は終始「ウンウン」とうなずきながら聞いていたが、梅津大将に感じたような感動的な意気込みはみじんも示さなかった。

 むしろ、常識化されたありふれた理論でもきくように、反応の乏しい態度である。

 一通りききおわると、案の定、ぼそぼそとした口調で、

 「わたしも同じように思っている。君の云うとおり、もう武力ではどうにもならん。あとは政治的交渉にたよるより方法がない。若い君達青年の国民運動こそ大きな力だ。大いにやってほしい。しっかりたのむ」

と、自分からは深いあきらめの中に逃避しているような口ぶりである。

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  1. 2015/08/27(木) 01:26:14|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第二巻受難の巻

 板垣司令官は石原莞爾将軍と思想を一つにしている筈である。さればこそ、一番に日中事変解決法案に賛成し、力をかしてくれる人であると期待してきたのであった。

 だが、今眼の前につくねんとしている板垣大将の態度は、~日本は戦争の慢性病にかかってしまったんだよ。この病気は、名医や特効薬もうけつけないんだよ~とさじをなげてしまっているような様子である。

 石原将軍と同じ思想にたつ人であるならば、今この危急な時にこそ、事変解決にもっともっと熱意を示すべきであるのに、一体どうしたことであろうか~

 事変不拡大主義をとなえつづけた石原将軍ほどの情熱は、この人にはないのであろうか~

 石原将軍は、日中事変勃発時の関東軍参謀本部の中心人物であった。その後作戦部長をしていた彼は、事件の不拡大主義をとなえて必死になってたたかってきた。

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  1. 2015/08/28(金) 14:37:05|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第二巻受難の巻

 関東軍はソ聯にたいしてそなえるべきで、満州以南に兵をすすめることは、日本の破滅行為である……という深い見とおしに立っていた彼は、軍の強硬派に対立して拡大をくいとめようとして嚙みつづけていたのである。

 丁度その頃、梅津大将が杉山陸相の次官であった。

 熱烈な石原将軍の提案には、軍首脳部も動揺をつづけ、不拡大か、進撃か、いずれかに決しかねて明断が下せないでいた。

 このような中央の優柔不断をしりめにかけて、好戦的な強硬派は、はやる駿馬のように手綱をきって南へ南へと進撃せんとし、中国は又、藘溝橋の銃声に抗日抗戦の意気がいよいよたかまり……この二つの民族の感情は、再び華北の地、廊坊と北平において、火花をちらさんばかりに衝突してしまったのである。

 ことここにいたっては、さすがの石原も涙をのんで折れ、日本軍は車が坂道をころげ落ちるような勢いで、華北に、華中に、果ては華南にと、中国全土に戦火をひろげていった。

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  1. 2015/08/30(日) 13:48:48|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第二巻受難の巻

 その上、戦争がはげしくなるにつれ、兵は残虐となり、戦線がひろがるにつれて軍規の乱れはひどくなるばかりであった。

 アジアの地に王道楽土をきずかんとした石原の理想は、こうしてむざんにも裏切られてしまったのである。

 板垣将軍も石原将軍とともに、戦域の拡大をうれいて、この数年悶々としてきたはずであった。それなのに、この無気力はどうしたことだというのだ。強硬派に対立してたたかいつづけ、すでに力もつきはててしまったというのか。

 この人はもう、事変処理に立上る気は全然ないんだなあ~と戸松はがっかりした。

 だが、この点には期待がもてないとしても、東条首相に会う方法として、板垣将軍をうごかすことが一番確立度がつよいかもしれない。かつての上長の紹介状ならば、ごうまんな東条といえども無視することはできないであろう。

 一つたのんでみよう……戸松は率直に切り出した。

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  1. 2015/08/31(月) 15:04:11|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

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國 乃 礎

Author:國 乃 礎
   綱 領
政官財・癒着根絶
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国賊売国奴殱滅
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