いしずえ

第二巻受難の巻

 わたくしは一瞬不思議な現象でも見たような気がした。彼女の態度が謎めいたものに思われた。彼女がいつも午後になると二、三時間は居なくなってしまうのは、花野夫人の部屋へ行っているものとばかり思っていたのだが……ここへ来ていたのか。……なぜだろう……入口に立ったままわたくしは大仰な声でいった。

 「どうしてこんな牢獄みたいなところに一人でいるの?」

 わたくしの不審そうな顔から眼をそらすと、彼女はふたたび編物の手を動かしながら、そっけない口調でいった。

 「ここがわたしの天国よ。ここで独りでいる方がよっぽどいいわ」

 わたくしは二度びっくりして、その場に立ち竦んでしまった。田舎そだちの善良さと、くったくのない性格をもっている彼女でも、胸の中には人知れず不満不快の熱湯をたぎらせているのであろうか。

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  1. 2015/12/01(火) 16:30:59|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第二巻受難の巻

 わたくしはその心をさぐるように高い頬骨と長い顎の目立つ横顔を凝視した。すると、彼女の肉のこけた頬がいっそうおちくぼんで見え、憂愁の影がひっそりとひそんでいるのに気づいた。

 わたくしは彼女の内部にかくされている苦悩を知りたいという衝動にかられた。それにはまず自分の悩みを告白し、話し出しやすい雰囲気をつくることが先決である。

 ベッドにちかづくと、わたくしは彼女と並んで行李の山によりかかり、彼女の編物の手元をながめながら語り出した。

 滬西の生活が娘の頃にいただいていた結婚の理想とはおよそかけはなれたものであること。右を向いても左を見ても中国人ばかりの中で、しかもこういう雑居生活の中で、子供を生み育てていく自信はまったくないこと……等を手みじかに語り、さらにあなたはどう思うかときいた。そのとき、わたくしは妊娠四ヵ月であった。

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  1. 2015/12/02(水) 13:28:37|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

             11 33 21 91 三 43 21 65 45' 41 62' 52 44' 71 33

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  1. 2015/12/02(水) 21:01:17|
  2. 未分類

第二巻受難の巻

 すると、編物をつづけながら黙ってきいていた彼女が、わたくしの言葉がおわるやいなや、手をとめ、憤然と眼をあげ、忍耐の堰が切れたかのように急込んでしゃべり出した。

 「わたし、堀下とこんなに遠くはなれて住むんだったら、わざわざ上海になんか来るんじゃなかったわ。ひとりでいるんだったら何処にいても同じことよ。上海でちゃんとした家庭が持てると思ったから来たのよ。それなのにどうでしょう、堀下はさっさと南支の奥地へ行ってしまったじゃないの。手紙なんか月に一回来るだけよ。それもわたしからやった返事がくるだけよ。わたし、次の手紙がくるまでの間、前に来た手紙をこの部屋に来て繰返し繰返し読んでいるのよ」

 彼女は涙をうかべて帯の間をまさぐっていたが、二、三通のうすい手紙をひっぱり出し、その一通をひらいて、

 「ごらんなさい。わたし七月に虹口にいったときハンドバッグをとられちゃったのを知らせたら、こんな手紙がきたのよ。今度会ったらうんと上等のを買ってやるから気をおとすなって……

 いつ会えるのよ。ねえ、いつ会えるのかさっぱりわからないじゃないの。発つときには、一月に一回は帰るっていってたわ。だのに半年たっても帰って来ないじゃないの。

 早く帰ってきてくれと云ってやっても、仕事がおわったら帰るってそれだけよ。一年のちか二年のちかわからないわ。それまでわたし、ハンドバッグなしで暮さなきゃならないわ」

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  1. 2015/12/07(月) 13:44:05|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第二巻受難の巻

 わたくしは少しくすぐったくなってきた。憤慨しているのか駄々をこねているのかわからない。

 自分の小遣いで買ったらいいじゃないの……と口まで出かかったが、あわててひっこめた。彼女の悲哀に水をかけてはならない。

 彼女はなおも真剣な顔で、せまるような口調でいった。

 「一体主人達は何をやろうとしているのでしょう。お勤めとか儲かる仕事なら、わたしにもはっきりわかるけど、主人が考えていることはわたしには見当がつかないわ。男と女が結婚しなきゃならないきまりを誰が決めたのかしら。こういう習慣があるから、堀下は仕方なしに結婚したのね。そうとしか思えないわ」

 堀下も彼女には仕事のことは話していないらしい。上海に楽しい生活が待っていることを期待して、彼女はいそいそと飛んで来たのである。

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  1. 2015/12/08(火) 14:05:57|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第二巻受難の巻

 「仕事についてはわたしにも何もわからないわ。日本と中国の未来をひらいていく重大な仕事だということはわかっているけど、具体的に何が行われているのか、わたしにはわからない……」

 仕事の具体的なことについては、戸松はわたくしには直接語ったことはなかった。牧谷や村上を相手に語る言葉を、それとなしに傍聴している中に、漠然とつかみとることはできたが、堀下夫人を相手に説得する力などはなかった。

 「あなた、上海にきたことを後悔しているのね」

 わたくしは彼女の顔をのぞきこむようにしてきいた。わかりきった愚問だった。すると彼女は、「後悔は牧谷さんの奥さんの方がつよいかもしれないわ」と、意表に出た言葉をかえした。

 「そう……そうだったの……」

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  1. 2015/12/09(水) 15:02:57|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第二巻受難の巻

 「牧谷さんは若い時、とても雄弁で指導力のある青年だったんですって。満鉄をやめて上海にくる時、奥さんは牧谷さんが今に大事業をするだろうと思って賛成したらしいのよ。

 ところが上海に来てみたら、どうでしょう。なにがなんだかわからないような生活が何ヵ月も続くじゃないの。

 こういう雑居生活は子供がかわいそうよ。子供本位の暮しはできませんものね。赤ちゃん二人がずい分ミルクをのむので、上の子の洋服や靴やおもちゃが買ってやれないって云ってたわ。おもちゃの代りに蛙をとってきて遊ばせようかって云ってたわよ。

 それに、赤ちゃんに晴衣がつくれないから宮詣りも出来ないっていうのよ。

 奥さん、あなた知らん顔していたら悪いわよ」

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  1. 2015/12/11(金) 00:18:54|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第二巻受難の巻

 宮詣り……知らん顔……牧谷の双児の宮詣りに、わたしがどういう責任をもたねばならないと云うのであろうか。

 堀下夫人はわたくしが、戸松から特別に余分の金を托されているとでも思っているのであろうか。鉛の塊をいきなり喉につっこまれたかのように、一瞬、わたくしは息をのんだまま凝然とした。

 そして、あわてて、自分が余分の金をもっていないこと、堀下夫人と同じように五百ドルの小遣いをもらうだけであること、その小遣いも生活費と一緒になって、いつの間にかうやむやになってしまうこと……などを必死になって弁解したのであった。

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  1. 2015/12/11(金) 14:21:53|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第二巻受難の巻

 妻の怒り

 それから数日たった或日のこと、窓ぎわに椅子をよせて読書しているわたくしのそばへ、本田がのっそりと近よってきた。

 「奥さん、戸松さんの奥さんらしく自重してほしいですね」

 「え?」

 虚をつかれて、わたくしは魂が脳天からとび出してしまったような気がした。彼が何を云おうとしているのか、空になった頭の中を急いでかき集めてみても、何もひっかかってこなかった。

 「前から云おう云おうと思っていたんですが、奥さんが内地から持ってきた本はやいてしまったらどうですか」

 「……」

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  1. 2015/12/12(土) 14:05:55|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第二巻受難の巻

 突然湧きおこった濃霧にまきこまれてしまったかのようだ。何が何だかさっぱりわからない。

 「奥さんは戸松さんの思想はまだわからんでしょうが、戸松さんの奥さんがこういう本を読むべきでないですよ。日本は米英と戦争しているんですよ。こんな敵国人の本を読んだりしちゃいけませんよ。戸松さんは愛国心のつよい人なのに、奥さんが売国奴のようなまねをしたら困ります」

 わたくしは机の上につまれた本を見た。カロッサ全集、リルケの詩集、トルストイのアンナ・カレーニナ、戦争と平和、それに聖書等……

 たしかに西の国のものばかりだ。だが、しかし、本田のいう敵国米英のものは一つもなかった。強いていえばヴァレリーのヴァリエテぐらいのものだが、フランスは当面の敵国ではない。

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  1. 2015/12/13(日) 22:52:14|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第二巻受難の巻

 「ここにはイギリスやアメリカのものは一つも無いんですけどね……戸松だって読書のことまでは干渉しなかったわ」

 生意気な事を云わないでちょうだい……心の中でもう一人のわたくしが悲痛な声で叫んでいた。しかし、外面のわたくしは冷然として本田を見上げた。

 「ぼく達は天皇陛下に一命をささげている愛国者です。とにかく、奥さんももっと日本的になってほしいですね」

 冷たい笑いを片頬にうかべながら、言葉だけはやわらかに念をおすように云った。

 「わかったわ」

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  1. 2015/12/14(月) 15:36:25|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第二巻受難の巻

 あっちへ行ってちょうだいと云わんばかりに、わたくしは窓の外に視線をうつし、青空の一点を凝視した。

 空は晴れていた。しかし心の中には憤怒の雲が夕立雲のようにむっくりともりあがり、後から後からむくむくと湧きあがってきて、心の壁をつきやぶって全身にひろがっていくように思われた。

 怒りはひろがっていくにしたがって、悲哀をともない、やがて失望をもまじえて、生きる力をうばってしまうのではないかと思われた。

 (なお、天皇信仰の愛国者だったはずの本田は、戦後共産主義を主張し、やがて反転して株屋となり、資本主義のどれいとなったのは皮肉な人生という外はない)

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  1. 2015/12/16(水) 01:24:11|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第二巻受難の巻

 わたくしには戸松の妻として必要な能力は、何一つそなわっていない。彼の部下からは非難され軽視され、夫人達には不満を抱かれ、彼らを統率するどころか説得していく力すらない。いったい、今のわたくしにはどういう賢明な生き方があるというのであろうか。

 おそらくこれからも、戸松は遠大な理想をめざして走りつづけ、わたくしの小さな悩みなど立止って見つめてくれる暇など無いであろう。彼にとっては、そんな事は悩みの中にははいらない、みみずのたわごとにも等しいことなのだ。

 彼の理想の日は中国の空に赤々ともえ、牧谷や堀下のように、その理想にあこがれて集まる人々とともに、前進また前進をつづけることだろう。

 だが、彼らは社会、国家の理想を高々とかかげても、一人の妻の人生に希望の火をともすことは出来ない。彼らの理想の火は、大地をはなれて飛び上っていく花火のようなものだ。

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  1. 2015/12/16(水) 14:14:18|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第二巻受難の巻

 妻は生活しなければならない。そして赤ん坊はミルクをのまねばならず、子供はおもちゃが欲しいのだ。

 それにもまして、妻や子供が求めているのは家族単位の家庭である。この人間生活のもっとも根本的なことすら解決できなくて、一体何の理想であろうか。そんなものは空想というものが。

 このような夫に信従して行こうとすれば、妻はやめて同志にならねばならない。家庭を断念しなければならない。

 それが出来ないというならば、悪妻の名に甘んじなければならないのだ。

 歴史上の偉大なる聖人、英雄のもとに、悪妻がはべっているのは、ゆえあることである。崇高な人生にいきる彼らには、凡人の妻に平凡な幸福をあたえることは出来ないのだ。彼らの妻は孤独と不満にさいなまれて、ついに精神のバランスを失ってしまうのである。

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  1. 2015/12/17(木) 15:30:11|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第二巻受難の巻

 ソクラテスの妻が、弟子達を集めて講義しているソクラテスに、おしゃべりをしているよりパンを得てこいとどなったということも、彼女の苦悩がいかに深かったかを物語っている。

 聖人、英雄ならずとも、高い理想にばく進する者の人生はきびしいものだ。彼らは妻や子をおきざりにして、民族よ、大衆よ、人類よと叫びつつ走りさってしまうのである。

 わたくしは自分の未来に、夫とともに理想にいどんでいくか、それとも悪妻となってパンと家をあたえよと怒りつづけるか、彼から逃避してしまうか、三つの道がはっきりとわかれていることを知った。

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  1. 2015/12/18(金) 14:19:52|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第二巻受難の巻

 東条軍閥の恐怖政治

 動かしがたき潮流

 東京は晩秋の色につつまれていた。

 太平洋の南に夕立雲のようにむくむくと湧きあがった敵の大勢力が、じりじりと北をめざして襲いつつあることなど一向知らぬ気に、小春日和にめぐまれて静かであった。

 駅頭には出征兵を送る人々がうごめき、町にはわずかづつ渡される食料品や日用品をもとめる人々の行列がつづいていたが、誰も戦時下の生活に疲れているという風には見えなかった。

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  1. 2015/12/19(土) 16:06:38|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第二巻受難の巻

 戦争は日本人の生活化され、常識化されていたのである。教育も文化も労働も娯楽も、一切のものが戦争と直結し、戦争にむかってすすめられていた。

 詩人は聖戦の大らかさをうたい、音楽は戦争の雄壮さを奏で、学者や思想家は八紘一宇の精神を戦略化して「撃ちてしやまん」とはやしたて、政治家は鬼畜米英と大東亜共栄圏をさけび~国のすみずみまで戦争のムードは横溢していた。

 これでは荒木大将や前田中将が、いかに現状に疑心をいだいていたとしても、自分の所信をふりかざして、身体をはってでも立上ろうという気がおこらないわけだ。

 政府と軍部はこのムードの波にのって、完全に国民から支持され、応援されているのである。戦争を遂行しているのは軍部であったが、それを背後から拍車をかけているのは、国民の声援と力であった。

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  1. 2015/12/20(日) 20:56:07|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第二巻受難の巻

 日がたつにつれて、戸松は日本国中をおおっているムードの奇怪な威力に圧倒されそうになってきた。

 大衆の中にまじって周囲をみわたすとき、人々はすべて胸をはって高らかに必勝をとなえながら戦争にむかって行進している。

 この真只中にあって、戦争の中止をとなえることは、川の流れを素手でせきとめようとするにひとしい。しかも、この流れは満々としてひろがるナイルの洪水のごとく、流れに抵抗する者を無言のままおだやかに包みこんでおし流していく力をもっていた。

 今、日本には世界とか人類とか、アジアとか包含する立場にたった理性はない。あるのは民族の感情だけであった。

 しかも、その感情は、日本のアジア、日本の世界をめざしてもえつづけているのであった。愛国心という大らかで素朴で高邁な精神も、敵にたちむかうための悲壮な覚悟の精神に圧縮して考えられていた。

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  1. 2015/12/23(水) 10:08:44|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第二巻受難の巻

 海のとりかこまれたせまい島国で、ひしめきあって生活してきた日本人は、民族の固有性とか、人間価値の根本である思想とかのもつ意義を知らない。長い歴史の中で、儒教、仏教、西洋近代思想などに、骨の髄まで占領され支配されておりながら、それにたいしては何らの抵抗をこころみず、屈辱すら感じないでいるにもかかわらず、外面的な外交経済の圧力には、頭に血をあげて猛りたつのである。

 その上、昭和の日本人には、敵を知り我を知って進退をはかる理性もない。刀折れ矢尽きても戦いは止めるべきでないという考えにたっているのであった。

 戸松は、新聞や雑誌を読み、映画を見てはいろいろの角度からこの戦争をかんがえてみた。

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  1. 2015/12/24(木) 13:18:00|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第二巻受難の巻

 中国にあって、中国人とまじわりつつ客観的にながめていた日本は、為政者の考え一つでは講和への道に容易にふみきるだろうと思われた。しかし現実にみる日本は、官民をあげて一つの執念にとりつかれている。濁流に竿さす小舟のように、彼は母国にありながら、中国にいる時よりもずっと孤独を感じたのである。

 この動かしがたい国民的ムードの中に立って、彼はふと~もうなるようにしかならんのじゃないか、前田中将のいったとおりかもしらんなあ~とかんがえる。

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  1. 2015/12/25(金) 14:53:07|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第二巻受難の巻

 だが、すぐ又思いなおす。~このムードをひきずっている一握りの指導者の決断次第では、あるいは流れの方向をかえることができるかもしれない。又このムードの底流には、案外新しい方向をもとめている勢いがひそんでいるかもしれない。どのように客観事情がかわってこようとも、中国を立つ時の志はわすれまい。方法はその時々に応じてかえるとしても、志は出発点にたって一筋につらぬいていかねばならない。

 彼は次にたずねるべく予定していた先輩の名前をつぎつぎにあげてみた。頭山満、萱野長知、石原莞爾、安岡正篤、中野正剛、大川周明~いずれも東条への道には希望をもてない人々ではあるけれど、彼らがこの戦争をどう考え、解決法をどこにもとめているか、又、自分の意見をどう受けとめてくれるか、一応当ってみて、今後の行動の参考にしなければならない。

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  1. 2015/12/26(土) 15:17:54|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第二巻受難の巻

 無私にして公平なる先輩

 園田は鹿児島の生家から大分の妻の生家に行って沢山土産物を出し、歓迎の宴席で離縁を宣言して立上り、青天の霹靂とばかり驚く人々を後に外にとび出しそのまま上京して来た。

 その夜、食事をすませると、戸松は園田をさそって江戸川アパートの安倍先生をたずねた。一通り今までの報告をしなければならないと思ったからである。

 先生は西欧的生活法を身につけている人であるから、時間に厳格で、夜の訪問や宿泊はよろこばない。しかしどういうものか、戸松の訪問は無二の同志を迎えるかのごとく、いつでもよろこんで受けてくれた。

 年老いた精神家は、思いあれど果てしない老いの夢を、青年の行動にかけていたのかもしれなかった。

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  1. 2015/12/28(月) 14:05:48|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第二巻受難の巻

 公に生涯をささげつくし、未来を信ずる老人は、例外なく青年を愛し、青年を励ます。頭山満、萱野長知、荒木、前田の両将、戸松が先輩と仰いだ人々はことごとくそうであった。

 中でも安倍先生は、父の慈愛を感じさせた。肉体をあたえたのは生みの親であったが、魂の育ての親は安倍先生であったといえる。

 愛情と期待をもって育みながら、かつて一度も思想的後継者として社会党にはいれといったことがなかった。ここに教育者としての先生の大愛を見ることができる。すでに早くより戸松の本質をみぬき、この若者は自分をのりこえて新しい道を開拓していくものであると考えていたものであろう。

 とにかく、戸松の思想と行動の唯一の楽しみにしているかのごとく、顔に興奮の色をみなぎらせてききいるのであった。その時の先生の心は三十代の若さに立ち返っているのかもしれなかった。

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  1. 2015/12/30(水) 09:18:58|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

新聞 いしずえ 新年号 1月1日発行 №34

新聞 №34

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  1. 2015/12/30(水) 12:46:58|
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國 乃 礎

Author:國 乃 礎
   綱 領
政官財・癒着根絶
マスコミ横暴撲滅
国賊売国奴殱滅
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