いしずえ

第三巻激流の巻

「タイ国なら、日本にいるよりは安全かも知れんぞ」

 戸松から頼りがあったのは一ケ月前であった。わたくしが秋田に帰ったものと思って出した端書が、東京へ廻送されてきたのである。

 シンガポールに無事についたということと、これからタイ国に向うという簡単な文面であった。タイ国の守備ならば、まず安心だ。わたくし達は一まず安堵した。まさか、戸松がビルマの原野で日々はげしい空襲にさらされているなどとは、夢にも考えなかったのである。

 兄の云うとおり、タイ国ならたしかに日本よりは安全かも知れなかった。

   (43 43' 23)

にほんブログ村
FC2 Blog Ranking

テーマ:このままで、いいのか日本 - ジャンル:政治・経済

  1. 2018/11/01(木) 13:20:50|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第三巻激流の巻

 大本営は六月下旬ごろから、相ついで国民に警告を発していた。アメリカ軍が、日本本土の最大の防衛線であったサイパン島に上陸し、圧倒的な戦力をもって日本軍をうち破り、ついに一ケ月後の七月十六日、サイパン島の軍民をあげて玉砕せしめたというのである。老人、婦人、子供にいたるまで、それぞれに手榴弾が渡され、体力ある者は日本刀や竹槍をふるい、全島一丸となって戦闘の後、殆どが、最後に自ら命を断って果てたというのであった。

   (43 43' 23)

にほんブログ村
FC2 Blog Ranking

テーマ:このままで、いいのか日本 - ジャンル:政治・経済

  1. 2018/11/02(金) 11:10:02|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第三巻激流の巻

 大本営の栗原海軍報道部長は「サイパン方面の敵の使用兵力および来冠企図、その戦意は、開戦いらい最大のものであって、サイパン島は東京を隔たる千二百六十八カイリ、此島を隔たる千五百カイリにして、西太平洋の洋心にあたっているので、敵がここに強大な航空基地を設置すれば西太平洋における制海、制空権に及ぼす影響は極めて大である。大型機をもってすれば、本土此島もその圏内に帰属せられる」

と、国民にいよいよ時局が重大時に立至った事を、新聞ラジオを通じて報じていた。

   (43 43' 23)

にほんブログ村
FC2 Blog Ranking

テーマ:このままで、いいのか日本 - ジャンル:政治・経済

  1. 2018/11/03(土) 11:32:56|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第三巻激流の巻

 兄の話によると、赫々たる戦果を誇らかに発表しつづけていた大本営が、日本の敗北をあるていど正直に発表しはじめたのは、去年の五月のアッツ島の玉砕の頃からであって、その頃から、軍はしきりと国民の奮起を呼掛けていたというのである。

 しかし、サイパンが攻略される迄は、日本全土には、まだまだ楽観的空気があり、軍の発表にも、受取る国民の側にも、心を切り刻むような切実感はなかった。

   (43 43' 23)

にほんブログ村
FC2 Blog Ranking

テーマ:このままで、いいのか日本 - ジャンル:政治・経済

  1. 2018/11/04(日) 10:03:57|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第三巻激流の巻

 だが、さすがに、サイパン玉砕は、軍民ともに大きな衝撃であった。サイパンを敵手に委ねたということは、既に本土への門戸を奪いとられたことになる。敵が中部太平洋にせまらぬ中に、和平の手段をこうじなければ手遅れになると叫び続けていた戸松の主張が、ついに現実のものとなって迫ってきたのである。

「お兄さん……」

 黙って庭のダリヤの一枝を見続けていたわたくしは、ふり返って兄に呼び掛けた。

   (43 43' 23)

にほんブログ村
FC2 Blog Ranking

テーマ:このままで、いいのか日本 - ジャンル:政治・経済

  1. 2018/11/05(月) 11:22:00|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第三巻激流の巻

「大本営は、日本がアメリカの大型機の制空圏内に入っていると発表しているけど、サイパンから日本まで、そう簡単に爆撃に来られるものかしら」

 航空機の進歩に無知なわたくしには不思議であった。

   (43 43' 23)

にほんブログ村
FC2 Blog Ranking

テーマ:このままで、いいのか日本 - ジャンル:政治・経済

  1. 2018/11/06(火) 17:27:00|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第三巻激流の巻

「アメリカの新大型爆撃機なら、楽々やって来るさ。アメリカにはB二四、B二九などの凄い爆撃機があるからね。その数量もどんどん増えているらしいから、今に大群をなして飛んで来るようになるだろう」

「驚かさないでよ。本当に、アメリカにそんな凄い飛行機があるの?」

   (43 43' 23)

にほんブログ村
FC2 Blog Ranking

テーマ:このままで、いいのか日本 - ジャンル:政治・経済

  1. 2018/11/07(水) 16:02:00|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第三巻激流の巻

「先月、北九州を空襲にきた爆撃機は、これまでになかったような大きな奴で、そのB二四とかB二九とかいう奴だそうだよ。大分上空を飛んでいたそうだ。それにスピードはあるしね。それじゃ高射砲も戦闘機も役立たんのじゃないかという話だ。もっとも日本にも、戦闘機の凄いのがどんどん出来ているけどね、中島製作所なんかでは、凄い性能の飛行機をつくっているというからね。しかし、アメリカの増産に追いついていけるかどうかはわからん」

   (43 43' 23)

にほんブログ村
FC2 Blog Ranking

テーマ:このままで、いいのか日本 - ジャンル:政治・経済

  1. 2018/11/08(木) 12:22:00|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第三巻激流の巻

「その北九州に飛んできたという爆撃機は、いったい何処から飛んできたの?空母から?まさか南洋からじゃないでしょう」

「いや、支那からだよ。支那にアメリカの大型爆撃機の根拠地が大分できているそうだ」

「支那から……」

 そういえば上海にいるとき、戸松が青年達に中国大陸にアメリカの爆撃機の基地が十指に余る程できていると話していたことがあった。彼は、今に中国東部も日本も、彼らの爆撃にさらされるだろうとも話していた。あの頃は、空念仏でも耳にしているように、安易な気持で聞いていたのだが……。

   (43 43' 23)

にほんブログ村
FC2 Blog Ranking

テーマ:このままで、いいのか日本 - ジャンル:政治・経済

  1. 2018/11/09(金) 11:26:36|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第三巻激流の巻

「中国大陸とサイパンの両方から、どんどん爆撃機が飛んでくるようになったら大変だわねえ。そうなったら、前線も銃後もないわね。本当にタイ国にでもいた方が、安全かも知れないわ。しかし、サイパンからはいつごろから来るようになるかしら……」

「そういう事ははっきりわからんねえ。ひょっとしたら一、二ケ月に流行ってくるかも知らんよ。何しろ、アメリカ軍の滑走路のつくり方は、物凄く早いというからね。日本の基地を占領して十日もたてば、もう飛行機が飛びたつと云うのだから大したものだよ。もっとも大型機が飛ぶような滑走路なら、そう簡単にはいかないだろうけどね。それでも、彼らは秋までにはつくるだろう。今に東京にはいられなくなるかも知れないよ」

   (43 43' 23)

にほんブログ村
FC2 Blog Ranking

テーマ:このままで、いいのか日本 - ジャンル:政治・経済

  1. 2018/11/10(土) 11:00:57|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第三巻激流の巻

 田舎へ早く行った方がいいというのは、そういう意味だったのか……先刻、兄の言葉に内心ひがみを感じた自分が滑稽に思えてきた。

「まさか、戦争に負けるような事はないでしょうねえ。酷い目にあっても最後には勝てるんでしょう?」

 兄の立場ならば、大体の見通しぐらいはわかるのではないかと思ったのであるが、

   (43 43' 23)

にほんブログ村
FC2 Blog Ranking

テーマ:このままで、いいのか日本 - ジャンル:政治・経済

  1. 2018/11/11(日) 11:11:11|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第三巻激流の巻

「そんなこと、誰にだってわかるものか。世界中が絡み合って戦っているんだ。仲裁国がなければ、食うか食われるかで、最後のとことんまで戦うことになるだろう。アメリカの爆撃でまいってしまうか、それとも、いよいよ本土決戦になれば日本が有利になるかも知らんし、いや、それまでにはまだフィリピンも台湾も、沖縄もある。敵が本土まで来るには、まだまだ大変だけどね。しかし、いずれにしても陸軍はさいごまで戦うよ。こうなったら、誰が首相になったところで、日本の方向を変えることは出来ないね。軍は最後の一兵になるまで戦い続けるだろう。それに、ひょっとしたら、圧倒的な科学兵器が出来ないとも限らんしねえ」

   (43 43' 23)

にほんブログ村
FC2 Blog Ranking

テーマ:このままで、いいのか日本 - ジャンル:政治・経済

  1. 2018/11/12(月) 11:15:00|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第三巻激流の巻

 日々陸軍の将校教育を眼のあたりにしている兄には、壮烈な結末しか予想されないのかも知れなかった。戦闘士の教育は「必勝をめざす」ことだけが総てだったのである。しかも兄は、学者らしく、ひそかに奇蹟的な魔力を発揮する新科学兵器の出現を期待しているのであった。

 なんとかなるさ……というように、兄は後頸に両手を組みながら、ごろりと横になった。太平洋の島々の玉砕は、まだまだ彼自身の深刻な苦悩にはなっていないようであった。

   (43 43' 23)

にほんブログ村
FC2 Blog Ranking

テーマ:このままで、いいのか日本 - ジャンル:政治・経済

  1. 2018/11/13(火) 11:13:31|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第三巻激流の巻

「早く秋田へ帰った方がいいよ。東京で鶏の餌のような物を食べていたら(そのころの配給はとうもろこしが三、四分まじった米であった)健康な者でも身体がおかしくなってくるよ。それに、姑さんと仲よくなる丁度いいチャンスだよ」

 寝転んだまま、兄は天井を見つめながら独り言のように云った。度の強い眼鏡の下で、茶色のかった大きな目が、わびしそうに力なく瞬いているのが見えた。

 母と妻との二つの女の我執のはざまに立って、物質の法則でははかることの出来ない人間感情の矛盾と葛藤に何年間か苦しめられてきた兄は、「わが子だ」「わが夫だ」といがみあう自己独占本能を越えた人間同志の結合を、戸松の母とわたくしとの間に望んでいるのかも知れなかった。

   (43 43' 23)

にほんブログ村
FC2 Blog Ranking

テーマ:このままで、いいのか日本 - ジャンル:政治・経済

  1. 2018/11/14(水) 11:00:50|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第三巻激流の巻

   東条内閣倒崩

 こうなったら誰が首相になったところで、日本の方向を変えることはできないよ、と兄は云っていたが、丁度その二、三日前、東条内閣は総辞職し、かわって、小磯、米内連立内閣が誕生したばかりであった。

 東条内閣は組閣以来、二年八ケ月目に退陣したわけである。東条首相はこの二月、敵の奇襲によってマーシャル群島の防衛が瞬間的に壊滅し、ついでトラック島が空襲と艦砲射撃で深刻な損害をけ、戦争の前途が憂慮すべき事態となったとき、この非常の重大時をきり抜けるべく、軍務大臣と元帥部長が同一人でなければならぬことを主張して、自からは陸相のまま参謀総長に、海相もそのまま軍令部総長に親補されたのであった。これは、東条大将自身のかたい信念から発したものであった。陸軍大臣がどうじに参謀総長に、海軍大臣が軍令部総長になったのは、明治十一年参謀本部独立いらいはじめてのことであった。

   (43 43' 23)

にほんブログ村
FC2 Blog Ranking

テーマ:このままで、いいのか日本 - ジャンル:政治・経済

  1. 2018/11/15(木) 17:01:28|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第三巻激流の巻

 こうして、東条首相は、内閣総理大臣兼陸軍大臣、兼参謀総長という、国務と統帥の二つの大きな権力を一手に握り、独裁的戦争指導を行ってきたのである。

 しかし、そののち、南方戦線の敗退、玉砕が相つぎ、戦局が急迫してくるに従って、支配階層の不信と反感、国民の憤懣と反発をかうようになり、サイパンの玉砕とともに、それはいよいよ表面化してきたものであった。

   (43 43' 23)

にほんブログ村
FC2 Blog Ranking

テーマ:このままで、いいのか日本 - ジャンル:政治・経済

  1. 2018/11/16(金) 11:08:16|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第三巻激流の巻

 もちろん、報道機関は、政変に絡まる支配層の複雑な空気に対しては、固く口を閉ざしていた。政変それ自体が、国民の動揺を招き、戦争遂行上不利なことであったから、東条首相の戦争指導に盲従してきた一般の国民に、不信と不安と疑惑をいだかせるような報道をながすことは、固く禁じられていたのである。

 しかし、国民の半数はそれとなく感じていた。それは流言に類するものであったが、ある程度の真実をふくんでいた。

 講談社で「雄弁」の編集をしていた三兄の嫁は噂話に耳ざとい女であったから、どこからともなく、いろいろの情報を集めてきて、気の許せる相手をつかまえて熱心に語っていた。

   (43 43' 23)

にほんブログ村
FC2 Blog Ranking

テーマ:このままで、いいのか日本 - ジャンル:政治・経済

  1. 2018/11/18(日) 13:50:20|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第三巻激流の巻

「あなた、御聞きになったことありません?皇族をはじめ、上流の方々はみんな親英派なんだそうですよ。何しろ、皇太子妃を英国の王室から迎えようという話もおきたぐらいの関係ですからね、個人的にはお親しいんでしょう。それは近衛さんをはじめ宮廷の重臣方はみな戦争を止めたがっていらっしゃるそうじゃありませんか。東条さんは必ず英米を撃滅してみせるといって頑張ったそうですけど、反対が多くて退陣したんですってね。今度の内閣は講話内閣よ、きっと……」

   (43 43' 23)

にほんブログ村
FC2 Blog Ranking

テーマ:このままで、いいのか日本 - ジャンル:政治・経済

  1. 2018/11/19(月) 10:16:26|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第三巻激流の巻

 また別の人はいった。

「こんどの内閣は、挙国一致内閣だから、いよいよ一億総決起のときがきましたねえ」

 事実、マリアナ基地の喪失は、戦争の前途に暗い影を投じたものとして、戦争指導者ばかりでなく、一般国民にも深刻な影響を与えていた。報道機関も、口を揃えて日本が重大な困難に遭遇していることを告げ、一段と、国民の決意を促し続けていたのである。

   (43 43' 23)

にほんブログ村
FC2 Blog Ranking

テーマ:このままで、いいのか日本 - ジャンル:政治・経済

  1. 2018/11/20(火) 15:05:32|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第三巻激流の巻

 アメリカ軍との対戦であるマリアナの敗北、イギリス軍との対戦であるビルマのインパールの壊滅、これらは、六月から七月にかけて相前後しておきたものであって、心ある国民は、はじめて我が国の戦力に疑いを懐きはじめたのであった。そればかりではなく、南方戦線の敗勢は、ビルマ原住民の如く、他のアジア諸民族の協力態勢をも、日に日に失わしめつつあったのである。

 しかも、このような暗雲が日本の空をおおいはじめた頃、ヨーロッパでも、ドイツは開戦いらい最大の苦難にみまわれ、待望の第二戦線に敗れ、東のソ連、西北の英米仏連合軍の反攻に崩れ、しだいに国内に圧縮される運命になっていた。そのうえ、国内にはヒットラーの独裁に対する不信の気風がふつふつとおきはじめていたのである。

   (43 43' 23)

にほんブログ村
FC2 Blog Ranking

テーマ:このままで、いいのか日本 - ジャンル:政治・経済

  1. 2018/11/21(水) 10:15:08|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第三巻激流の巻

 日本においても、日米戦の重要な関門として、物心ともに傾けつくしてきたマリアナ決戦の惨敗の後、戦争をどう指導していくかは、誰が首相兼参謀総長になったところで、容易なことであるとは思われなかった。ことに、サイパン決戦でアメリカ軍を一挙に撃滅してみせると豪語してきた東条首相に、そのまま戦争指導を委ね続けるということは、国民大半が不安とし、不満とするところだったのである。

   (43 43' 23)

にほんブログ村
FC2 Blog Ranking

テーマ:このままで、いいのか日本 - ジャンル:政治・経済

  1. 2018/11/23(金) 16:08:01|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第三巻激流の巻

 東条首相はけんめいに挙国一致内閣の改造に努力していたにもかかわらず、表面的ではないにしても、こうした国民の不評と不信の色はおさえがたく、ことに木戸内大臣ら宮廷勢力をまきこんだ重臣の排斥にあい、ついに倒閣したのであった。

 その後をうけた組閣の勅命をうけたのが、小磯国昭陸軍大将と米内海軍大将であった。小磯大将は、もと拓務大臣、当時の朝鮮総督という経歴の人であったが、さして国民の話題にのぼったことのない人であった。

   (43 43' 23)

にほんブログ村
FC2 Blog Ranking

テーマ:このままで、いいのか日本 - ジャンル:政治・経済

  1. 2018/11/24(土) 15:31:13|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第三巻激流の巻

 小磯首相の施政方針および戦争指導方針は、人物がよく知られていないだけに、戦局の行き詰まりに暗澹としていた国民の心には、新鮮な一つの期待であったのだが、内閣成立とどうじに発表した首相の決意は「必勝を期し聖戦を完遂する」いがいの何ものもなく、従来の内政、外交、戦争の方針を強化することを強張しただけであった。

 最早、日本自体には、自らの手によって、新しい局面をひらいていく力はなかったのである。兄のいうとおり、圧倒的な兵器があらわれるか、或は奇蹟がおこるか、または仲介的第三国かがあらわれない限り、戦争は石が坂道を転がりおちるように、行くところまで行かねば、止まるところを知らないもののようであった。

   (43 43' 23)

にほんブログ村
FC2 Blog Ranking

テーマ:このままで、いいのか日本 - ジャンル:政治・経済

  1. 2018/11/25(日) 09:38:00|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第三巻激流の巻

 事態は急迫していた。然し日本人の中にはこの石をくい止めるべき方策と手腕をもっている者は誰もいなかった。一方では非常の鐘を乱打しながらも、情勢判断のあまさ、軍部への過信は、最後の日まで日本人の頭からは離れなかったのである。

『本土決戦にでもなければ、日本の有利になるさ』

 アメリカの新鋭兵器と生産の優越におどろいている兄にしてもが、やっぱり、最後の勝利を信じていたのである。

   (43 43' 23)

にほんブログ村
FC2 Blog Ranking

テーマ:このままで、いいのか日本 - ジャンル:政治・経済

  1. 2018/11/27(火) 15:30:00|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第三巻激流の巻

  帰郷の里 秋田

 一部の東京市民の間では、ぼつぼつ疎開の話がおこりはじめていた。

 市の中心部では、学童の集団疎開をはじめた小学校もあった。

 しかし、大部分の市民は、それほど切実に疎開の必要を感じているようには見えなかった。ことに兄の住宅のある東大泉は、郊外といわれる練馬区の外れに位置していたから、周辺に畑地や雑木林が多く、敵の空襲に対しても、中心区ほど心を労する必要はなさそうに思われた。

   (43 43' 23)

にほんブログ村
FC2 Blog Ranking

テーマ:このままで、いいのか日本 - ジャンル:政治・経済

  1. 2018/11/28(水) 15:31:25|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第三巻激流の巻

「まさか、人家に一つ一つ爆弾をおとすわけでもあるまいし、怖いのは焼夷弾だけだ。日本の家は木造だから、敵も焼夷弾を使うに決まってるさ」

   (43 43' 23)

にほんブログ村
FC2 Blog Ranking

テーマ:このままで、いいのか日本 - ジャンル:政治・経済

  1. 2018/11/29(木) 15:30:05|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第三巻激流の巻

 一般市民には、敵の空襲がどの程度のものか、全く予想もつかなかった。人々は隣組で行っている焼夷弾対策を、真面目に実行することによって、なんとかなるだろうという。安易な気持をもっていた。その対策というのも、各戸に防火用水をそなえることと、長い火はたきをふりまわしたり、バケツリレーをすることに限られていた。しかも、その担当者は、殆ど家庭の主婦だったのである。小磯内閣は、超非常時にたちいたったことを国民に訴えながら、直ちにそれに対応するような国民指導を行わなかった。いや、行わなかったというよりは、アメリカ軍の攻撃力をはかりつつ、先々へと敏捷に手をうつ能力がなかったというべきかも知れない。

   (43 43' 23)

にほんブログ村
FC2 Blog Ranking

テーマ:このままで、いいのか日本 - ジャンル:政治・経済

  1. 2018/11/30(金) 16:00:55|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

プロフィール

國 乃 礎

Author:國 乃 礎
   綱 領
政官財・癒着根絶
マスコミ横暴撲滅
国賊売国奴殱滅
現行憲法廃棄
日米安保破棄

最新記事

カテゴリ

未分類 (6)
提言 (1)
理念と使命 (1)
目的・活動 (1)
遺言状(救國法典) 戸松慶議著 (660)
生存法則論 (第二巻 思想篇) 戸松慶議著 (3)
永遠の道 戸松登志子著 (2193)
新聞 (17)

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

ブログランキング

にほんブログ村 政治ブログ 政治思想へ
にほんブログ村

ブログランキング

FC2 Blog Ranking

月別アーカイブ

アクセスカウンター

天気予報


-天気予報コム- -FC2-

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

QRコード

QR