いしずえ

謹賀新年

謹みて新年の
 御祝詞を申し上げます

平成三十一年 元旦
               國乃礎鹿児島県総連合会


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  1. 2019/01/01(火) 15:00:53|
  2. 未分類

第三巻激流の巻

「わたしも一緒に秋田へ行こうかと思っているんだけどねえ。お前が田舎でどんな生活をするか、家の人達からどんな扱いをうけるか、一目見ておきたいのだよ」

 しつこいなあ……とは思ったが、これ以上母の気持を無視することもできず、それに母の申出ももっともな事と思われたので、わたくしは機嫌よく云った。

   (43 43' 23)

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  1. 2019/01/02(水) 10:11:32|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第三巻激流の巻

「いいわ、お母さん。切符二枚買っておくわ。その代り三等よ」

「三等でたくさんですとも……」

 母はうきうきした声でいった。

 一つの衝突が過ぎると、母はいつも掌を返したように優しくなる。そんなとき、驕慢なわたくしは、母が反省したものと、思い込んでいたものであった。

 今、三等車の薄暗い光に照らされて、げっそりと疲れたように眠っている母を見入っていると、肉親の情がひたひたと満ちてきて、哀れさと気の毒さがそくそくと胸を締めつけてくるのであった。

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  1. 2019/01/05(土) 10:13:22|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第三巻激流の巻

 沈黙は雄弁である―――とは蓋しうがった言葉である。そこに、日頃の気丈で勝気な母とは別人のような、没落の運命に喘ぎ続けてきた、孤独で淋しい母が眠っていた。

 しかも、六人も子供を生み育て、苦労して教育してきたにもかかわらず、母はそれに値する報いを何らうけてはいないのである。

 兄達は大学をでて家庭を持つと、だんだん遠い存在になりつつある。そして一人娘であるわたくしも又、母の意に従わない存在になっている。

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  1. 2019/01/06(日) 20:33:08|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第三巻激流の巻

 常に自分の愛と支配の傘下にいるものとばかり思っていた子供たちが、次々と、手の届かない遠いものになっていくのは、云いようもなく淋しいことに違いない。

 わたくしの幼いころ、母は子供の教育には冷酷なほど厳格な人であった。厳しい祖父母に育てられた母は、自分が教育された通りを子供たちの上にも実行しようとした。ことに女の子には厳しかった。明けても暮れても躾、躾で息が詰まるようであった。

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  1. 2019/01/07(月) 11:12:30|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第三巻激流の巻

 十数年前の七月の終り、丁度今頃であった。姉(当時十六歳)が身体が怠いと言ってごろごろしているのを、母は行儀が悪いと言って叱りつけていたものであった。数日後に高熱を出し、チフスにかかっている事がわかって避病院に運ばれていったが、余病を併発していて既に手遅れであった。姉は八月六日に死んだ。母の教育方針が変ったのは、それからであった。厳しく鍛え続けてきた娘の死によって、厳格すぎる教育が全て空虚なものに思われ出したのである。

 母はどうやら、男の子供の教育の結果にも、失望を感じているようであった。

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  1. 2019/01/08(火) 08:00:00|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第三巻激流の巻

 出世と栄誉を夢みて、男の子に期待をかけ、一流高校、一流大学へと、財産を傾けて追い上げていったにもかかわらず、社会にでた子供達は、一向に名を挙げそうにも見えなかった。

 もっとも期待をかけた長男は、出世街道とは縁遠い理論物理を専攻し、大学を出ると直ちに恋愛結婚して子供をどんどん生み、家族を養うのにあくせくしている有様である。郷里の家のことも親のことも、考えてくれそうにもない。嫁は結婚に反対し続けた母に、親愛と尊敬と服従の念をもってくれそうにもない。むしろ夫を中心として、母に対立する姿勢をとっている。

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  1. 2019/01/09(水) 08:00:00|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第三巻激流の巻

 何も彼もが、すべて誤算であったのだ。母の人生の計画はことごとく破れたのである。

 気の毒な人だ――わたくしは母の寝顔に呟いた。勝気であるだけに、一層あわれであった。

 秋田にいったら、戸松の両親と一緒に、せめて一泊だけでも湯瀬温泉に連れて行ってやろうと、わたくしは考えた。

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  1. 2019/01/10(木) 08:00:00|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第三巻激流の巻

  秋田の両親

 田圃の稲はすでに分糵し、絵の具を絞り出してそのまま塗りひろげたような濃い緑が、瑞々しい若さを視野一面に発散していた。大地の活力が今ここに集中しているかのようであった。戸松の家の居間からは、裏庭に続いて、この緑の生命の躍動するさまが、広々と見渡された。

 裏庭には二十羽ほどの鶏が、無心に餌をさがし回っている。彼らは食べても食べても足りない貪欲な生物である。

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  1. 2019/01/11(金) 08:00:00|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第三巻激流の巻

 親鳥が三羽、この中の一羽は雄鳥で、秋田の人達は「ジッケ」と呼んでいる。雄鳥をなぜジッケと呼ぶのか、秋田の人達に聴いてもわからない。秋田の人々の語る言葉の中には、古の都の落人や東征の武士が伝えたと思われるものがあるかと思えば、アイヌが残して行ったようなものもある。或いは、ジッケもアイヌの残していった名称かも知れない。

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  1. 2019/01/12(土) 18:00:16|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第三巻激流の巻

 ジッケは、たいてい一軒の家に一羽づつたてていた(鶏を飼う事をたてるという)。鶏一族の長であるジッケは、喧嘩に強くなければならず、つやつやと光った羽毛と、生き生きと聳えたつ赤い鶏冠と弾力的な美事な尾を持っていなければならず、その上によく時を告げねばならない。ジッケが貧相で気力がないと、雌鳥は自らの首領を裏切って、隣家のジッケに従ってしまうのである。

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  1. 2019/01/13(日) 08:32:05|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第三巻激流の巻

 自分の家のジッケが、よその家のジッケに負けることは、決して愉快なことではない。戸松の家のジッケは、したたるようにつやつやした栗色の手羽を持った美事な雄鳥であったが、二件向う隣りの松橋家のジッケにはかなわなかった。

 高股をからげたようにきりりとした松橋家のジッケが、ナポレオンのように胸と腹をつき出して、とゝゝゝと威勢よく駈けてくると、一戦も交えずして、物置の裏に逃げてしまうのだ。

 窓越にこの様を見ていた戸松の父は、吸いさしのキセルの雁首を力まかせに囲炉裏のふちに叩きつけて「ちえっ」と舌打ちして情けなかった。

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  1. 2019/01/14(月) 13:38:37|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第三巻激流の巻

 若鶏の半数以上が雄であった。赤い小さな鶏冠が、青春のシンボルのように新鮮なくれないに濡れ、きりっとしまった羽毛には、未熟な稚さがあった。

 やがて秋ともなれば、彼らは田圃の落穂をついばんで丸々と脂ぎり、収穫の喜びの生贄になり、冬ごもりの栄養源となってしまうのである。しかし彼らは人間の計画など知るはずもなく、瞬間々々の生を彼らなりに楽しんでいた。

 秋田の田舎の夏の入りは、見渡すばかりの緑の稲田と、庭先に群がるはつらつたる若鶏によって象徴される。

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  1. 2019/01/15(火) 13:20:50|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第三巻激流の巻

 ここには、食糧の不足はなかった。わたくし達が着いた翌朝、戸松の父は餌を争って拾っている鶏の群の中から、一番肥った雌鳥を一羽つかみ取った。そして「コケッ・コケッ・コケッ」と、異様な鳴き声をたててもがいている雌鳥を小脇にして、裏庭と田圃の堺になっている川端に降りていった。一切がそこで処理されたのである。

 昼ごろには、大きな皿の上に、黄色い脂のついた白い手羽肉や、赤味のかかった股肉や、骨を粉々に砕いて丸めた団子が、盛り上げられていた。

 客間には三つのコンロが運ばれ、それぞれに鍋がかけられる。父とわたくしの母とわたくしの分がめいめいに配られたのである。

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  1. 2019/01/16(水) 08:06:10|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第三巻激流の巻

 湯がたぎり始めると、骨の団子とささいだ牛蒡が入れられる。一煮立ちしたところで調味料が入り、白肉や豆腐と一緒に、飯をついて串につけて焼いた「切りたんぽ」が入れられる。

 この鍋物の箸休めには、別に五、六種ほどの料理のついた朱塗りの膳が配られる。東京では一、二年前でも、これだけのもてなしをするのは容易なことではなかった。

 しかし、秋田では配給の逼迫している今も尚、手軽く行われるのであった。全ての材料が自家製であり、豆腐すら大豆を持っていけば、いくらでも造って貰えるのである。雑穀入りの飯や代用食を食べていた東京の生活が、まるで嘘のようであった。日本の底力は、なんといっても農村にある。ここには、まだまだ物心ともに余裕があった。

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  1. 2019/01/17(木) 08:33:15|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第三巻激流の巻

 わたくしの母は、秋田に来てから、急に人が変ったように善良で慎しみ深くなっていた。それは娘の生活を托する人々に対する遠慮からではなかった。第一、母は自分が控え目にして平穏を保っていこうとするような消極的な女ではない。ことに面識の浅い人に対しては、見損じられまいとする自意識が強く、大抵の者は、手ごわい相手であるという印象をうけるのが普通であった。その母が、まるで打って変ったように、言葉少なになり、何事にも受け身になっているのである。母の張り詰めた自我意識は、まず戸松の父母の歓迎によって、崩れ去ったといってもよい。

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  1. 2019/01/18(金) 10:36:08|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第三巻激流の巻

 はじめて訪れる娘の婚家へ、多少の不安と懐疑と緊張をいだいてきたのであるが、戸松の父は何年も何年も待ち続けていた人がやってきたように、嬉しくて嬉しくてたまらないように相好を崩して迎え入れたのである。

 母の心の武装はガラガラと崩れ落ちていったものに違いない。母は昨日からずっと、物静かな笑顔をもって戸松の父の話を傾聴し続けていた。

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  1. 2019/01/20(日) 07:00:25|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第三巻激流の巻

 二人に話をさせておいて、戸松の母は客をもてなす支度に忙しかった。夕餉の膳には何と何を並べようか、明日の朝は何をそえようか、お茶うけには何がよかろうかと、母の頭の中はその事でいっぱいなのであった。

 わたくしは、自分に与えられた奥の八畳間で、上海から直送されたままになっていた荷物をほどき、縁側に並べて風を通した。客間からは父の機嫌のいい大声が聞えて来る。日露戦争の話、息子の社会運動の話、田舎では、こういう実生活に縁遠い話を、ゆっくり聞いてくれるような、思考と時間に余裕のある人はあまりいない。父は話し相手に飢えていたのかも知れなかった。

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  1. 2019/01/21(月) 08:35:17|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第三巻激流の巻

 今も切りたんぽや豆腐や葱を鍋の中につぎ入れていった。たえず鍋をいっぱいにしておかないと、心のこもった饗応にならないと考えているようであった。そしてその度に、

「食べてたもれ……」「あがらんせ」

と、短く繰返し続けていた。口数少なく、黙々と行動することによって、感情と意志を表現する人であった。

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  1. 2019/01/22(火) 08:12:50|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第三巻激流の巻

 戸松の父は、話がはずむと直ぐ息子の自慢になっていく。人毎に自慢せずにはいられないほど、息子を信頼し、誇りとしているのであった。

 父は戸松を兄と呼んで(他の弟妹に対しての呼び名であろう)ほかの七人の子供に配る関心を集めた以上の熱意と期待を注ぎこんでいた。

「兄がしっかりしておれば、後の弟妹はそれに見習っていくものだ』と云うのが、父の教育的確信であった。

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  1. 2019/01/23(水) 16:57:58|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第三巻激流の巻

 父はろくに鍋の物を取り上げようともせず、箸を抱えたまま、戸松が子供の頃いかに腕白であったか、又いかに気丈な見どころのある少年であったかを語り続けていた。「幼児の頃(生れたばかりの頃)あまり泣かないので啞ではないかと心配するほどだった。そして少年時代は喧嘩に強かった。三つ四つ年上の子が何人もでかかってきても、決して泣いて帰るような子ではなかった。手に持つものがないと履いている下駄を脱いで、それを持って飛びかかって行ったものだ。母親が心配して喧嘩するなと何時も叱っておったが、わしは喧嘩に強くなれ負けて逃げるなと云い聞かせたものだ。怪我をおそれて喧嘩も出来ないような子供は見込みがないと思っておった。学校へ行くようになってからは頭を磨け、何でも堂々と人の先に立ってやれと教えた。十五、六になってからは現状に満足せずにたえず工夫せい、他人の為になる生き方をせいと云って聞かせた。わしは只それだけの事を云ってきただけだがどうやらそういう男になってくれたようだ」

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  1. 2019/01/24(木) 15:56:00|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第三巻激流の巻

 わたくしは父の話から、ヘルマン・ヘッセの父は彼が子供の頃、毎木曜日になると千草の山の間にヘッセを連れていって、無言のまま彼をぶん殴ったものだった。ヘッセは子供心に、この拙い行為を通して父の熱意を受けとめていた。又彼の父は、息子が都会で学び、青春の苦悩をいだいて帰郷したとき、彼を慰め励まして、「最も熱のある青年が、最もよい老人になるのであって、青年時代に老人のように失敗なく振舞う人間が、最もよい老人になるのではない。最もよい老人とは、虫けらのように自分だけの為に生きるよりも、他人のために生きることに満足する者である」と教えきかせている。失敗しないようにせよと警告するのではなく、青年は大いに失敗して悩め、失敗のない青年は味のない老人になるだけだと励ましたのである。

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  1. 2019/01/25(金) 10:50:20|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第三巻激流の巻

 父親の息子に対する愛情ある教育というものは、細々とした干渉をすることではなく、子供としての生命、青年としての生命を、折り矯ることなく、男としての太々しい何ものかを内に打ち立ててやることにあるのかも知れない。

 戸松の父も、別に深い教育的考慮を重ねたわけではなく、直観的にこうした方針を選びとったものであろう。

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  1. 2019/01/26(土) 15:28:01|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第三巻激流の巻

「兄は二十の頃、東京から帰ってくると、向うの山に登って大声で演説をやったものだ。その頃から、日本の社会は改革しなきゃ、このままでは今にどっと崩れる時が来ると云って、しきりに本を読んで研究しておった。学校に行っても教えてくれる先生に満足せず、自分で師匠を求めて歩いたもんだ。僅か十九や二十で、当代一流の人物の門をたたき、直接風格に接して教えを乞うたものだ。殊に頭山さん(満翁)や安部さんには可愛がってもらったようだ。ああいう大先輩のように社会的に大きな仕事をするつもりかも知れません。わしにはもう、見当もつかんように成長してしまったですよ」

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  1. 2019/01/27(日) 16:13:17|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第三巻激流の巻

 父はいかにも満足そうに笑った。痩せた膝が、上下に愉快そうに動いていた。

「兄は家の宝だ。わしの宝だ。その嫁だ。あんたもわしの宝だ。大事な宝だ」

 父はわたくしの顔に、宝のレッテルでも貼りつけるように強く云い切った。わたくしの母は啞然として、そういう父を見守っていた。

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  1. 2019/01/28(月) 08:18:20|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第三巻激流の巻

 その夜、庭に面した奥座敷の縁側で、父はわたくしの母に植木の説明をして聞かせていた。植木といっても自慢するほどの物はなかった。園芸雑誌かなにかの広告にでている珍しい苗木を取り寄せて、何年間か丹精して育てた数本の木が、一応見事な形態を整えているに過ぎなかった。

 父はその一本々々を植付けた日をよく覚えていて、自分がいかにその木を所望していたかという事や、この土地ではそれが珍しい品種であるということ等、得々として話して聞かせるのであった。

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  1. 2019/01/30(水) 15:01:08|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第三巻激流の巻

 愛情をもって育ててきたわりには、植木の方はそう成長しているようには見えなかった。そのわけは、父が縁側から眺めては植え替え、又眺めては植え替えるという作業を、毎年のように繰返しているからだという事を、ずっと後になって知った。息子の教育には大筋だけをしっかりおさえていった父も、植木の育成には世話をやきすぎたようだ。植木は植え替えるほど、伸びる力を殺がれていったのである。

 父の話は植木から、庭の奥に安置してある先祖代々神を祀ってきた祠の由来に移り、更に庭先の牡丹や薔薇の一本々々にと、とどまるところなく移っていった。

「お父さん」

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  1. 2019/01/31(木) 15:26:16|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

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國 乃 礎

Author:國 乃 礎
   綱 領
政官財・癒着根絶
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国賊売国奴殱滅
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