いしずえ

第三巻激流の巻

「やられたっ」

 兄が、叫び声とともに、頭を強くわたくしの背中にぶっつけてきた。壕の横穴からはみだしていた兄の背中に、爆弾の破片が刺さったのに違いない、とわたくしは思った。

「どうしたの!!」「どこやられた!!」「お父さん死んじゃいやっ」

 口々に喚く声が、壕の中で渦巻いた。

「いや、大丈夫だっ。黙っとれっ」

   (43 43' 23)

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  1. 2019/06/01(土) 08:08:18|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第三巻激流の巻

 兄は厳しい声で制した。その間中も、爆音と破裂音はひっきりなしに続いていた。みんな再び息を潜め、身をかたくして外の気配に全神経を集中させた。すでに破裂音は遠のいていた。

「通り過ぎたらしい……命だけは大丈夫だった」まず、兄がほっとしたような声で云った。

「だが……家はきっととんでるぞお」

 今度は自分自身に云いきかせるように、呟くような声でいった。

「あの様子じゃ、この辺の家は全滅よ」

   (43 43' 23)

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  1. 2019/06/03(月) 10:00:00|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第三巻激流の巻

 わたくしも云った。恐らく、五、六軒は間違いなくとんでしまっているに違いない。

「お父さん、さっきどうしたの!!」

「お父さん、どこやられたの!!」

 奥の方から幼い声が代る代るがなりたてた。

「いやな、背中に大きな衝撃があったんで、てっきりやられたと思ったんだよ。そいつが大きな土の塊だったんだ。背中に当たって砕けたもんだから、身体中土だらけだよ」

「わっはゝゝゝ」

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  1. 2019/06/04(火) 13:52:56|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第三巻激流の巻

 みんな声をあげて笑った。そのどよめくような笑い声は、今しがた死線を脱出したばかりの命の凱歌を思わせた。

「そそっかしいなあ、お父さんらしいや」

 少年がませた口でひやかすと、みんな又どっと笑った。恐怖と不安におさえつけられていた心は、僅かなことにも、堰がきれたように笑いを放出せずにはいられない。生きているということが、たまらなく愉快であった。そのよろこびを実感している間は、住居や衣服のことは意識の外に追いやられる。兄も笑いながら、もそもそと土をかき分けていたが、

「もう大丈夫だ。出てみよう」

と云いながら這い出ていった。よほど大きな土塊が雪崩れこんだものと見えて、人口には土砂が積り、階段も埋っていた。兄に続いてわたくし達も、土を搔き分けながら出ていった。爆音は既に東の空遠く去っていた。

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  1. 2019/06/05(水) 17:23:05|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第三巻激流の巻

「家はちゃんとしているぞお。隣りも前も、みんなちゃんとしているぞお」

 子供達は手を叩いてよろこんだ。

「おかしいなあ、どこへ落ちたんだろうなあ」

 みんな不思議そうにきょときょととあたりを見廻したが、土塊や石が点々と散らばっているだけで、破壊のあとは見えなかった。

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  1. 2019/06/06(木) 10:00:08|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第三巻激流の巻

 奇跡というべきか、好運というべきか、この日、爆弾は全部道路と畑におち、南北に真直に走る幾筋かの道路を挟んで整然と並んでいる家々は、破壊を免れたのであった。一番被害の大きかったのは、兄の家の後ろの通りで、四、五十メートルの間に三つも爆弾がおち、一間半ほどの道巾いっぱいにえぐりとったような大きな穴をあけ、両側の石垣までも破壊した。ここからはね上げられた石塊や土塊が、三十メートル程も離れた兄の庭に降ってきたのである。

 兄の背中におちてきたものが土塊であったということは、祝福すべき天運であったというべきであろう。二軒向う隣りの家では、出産間もない夫人の寝室に大きな石が降ってきて、屋根を破り、寝具の真上におちてきたということであった。幸い、夫人は嬰児を抱いて押入れに避難し、かろうじて命拾いしたのである。これも又天祐であった。

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  1. 2019/06/07(金) 10:21:06|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第三巻激流の巻

 兄は今度こそ、家族を郷里に疎開させねばならないと決意を固めたようであった。七月ごろから考えていたことを、やっと決行する気になったのである。心が決まると彼はせっかちであった。郷里の家を守っている老爺に連絡を取り、すぐ出立の支度をするように義姉をせきたてた。

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  1. 2019/06/08(土) 10:00:03|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第三巻激流の巻

 義姉は夫の郷里へ帰ることを渋っていた。郷里には、最後まで兄達の結婚に反対した伯母たちが控えている。長男の嫁に東京の女を貰うと、田舎の家を粗末にするようになるというので、伯母たちは必死になって反対したのであるが、事実そうなりつつあったので、いよいよ不満を募らせているのであった。それに代々仕えてきた出入りの者達も、好奇の眼で義姉や子供たちを見つめるに違いない。その上離れ座敷には、既に三兄の家族が一足先に帰って住んでいる。噂好きの田舎の人々が、二人の東京育ちの嫁を比べて面白がるであろうことも想像できた。義姉にとっては、空襲をのがれて茨の中に逃げ込むようなものだ。出発の準備がなかなか整わないのも無理はなかった。

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  1. 2019/06/09(日) 10:30:13|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第三巻激流の巻

 爆弾にえぐりとられた穴埋め作業、配給当番、防空演習、野菜や燃料の買出し、てんやわんやの二十日ほどが急流のように流れ去り、正月も間近くなったある日、B二十九の大編隊が再び東京に来襲した。中旬以降は暫くの間、敵の関心はもっぱら西日本に向けられ、百機前後の編隊が名古屋や北九州を襲い、東京は忘れられてしまったかのようであった。この様子ならいっそのこと、正月をすませてから疎開することにしようかと相談がまとまった矢先、第二の大空襲にみまわれたのである。

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  1. 2019/06/10(月) 10:27:05|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第三巻激流の巻

 この日、敵は幾隊かに分れて、この前とは違ったコースを飛び、軍需工場を何ケ所か襲ったのち、兄の学校にも投弾した。防空壕に退避した教官と生徒の幾人かは、近くに投下した爆弾のため生埋めとなり、空襲解除になってやっと救い出されるという騒ぎがおこった。その上、掘り掛けになっていた防空壕が、ものの見事に跡形もなく吹っ飛んでしまったというのである。

「防空壕なんかあてになるもんか。五尺や六尺土の中に潜って見たところでどうなるというのだ。気休めの呪いみたいなものだ。俺はもう空襲があっても防空壕になんか入らんぞ。お前達は明後日出発だ。東京に用のない者は、一日も早く逃げ出すことだ。いいかっ、明後日だぞっ」

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  1. 2019/06/11(火) 13:35:16|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第三巻激流の巻

 学校から帰ると、兄はぶりぶり怒りながら云いわたした。最後の一言は一段と大きく、怒号に近かった。義姉が一言でも口を返そうものなら、百雷のような怒号が落ちてきそうな気配であった。これは兄が一言のもとに女房を従えようとするときの非情手段である。兄がかんしゃく声をはりあげるぎりぎりの限界まで、義姉はいつもゆっくりと構えているのだ。こうして、義姉と五人の子供達は兄にひきづられるようにして、はじめて見る父祖伝来の家に帰っていった。

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  1. 2019/06/12(水) 08:30:30|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第三巻激流の巻

 昭和二十年の元旦を、わたくしは母と二人で迎えた。門松もなければ鏡餅もない。正月らしいものといえば、配給された半数ほどの色黒い餅があるだけであった。昼頃になって、正月魚が配給になるという報らせがあった。いそいそと出かけて行った母は、やがてのことがっかりした顔で帰ってきた。六寸ほどの中古鰯が一本半配給になっただけであった。兄の分もあわせて三人分の配給だから、一人半本というところだ。

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  1. 2019/06/13(木) 11:00:18|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第三巻激流の巻

 その夜、黒い布カバーをすっぽりとかぶった電燈の下で、わたくしと母は鰯の尾頭づきをつつきあって食べた。膳の上だけがまるく照らし出され、向きあっている母の顔すら薄闇に包まれている。一筋の光も外にもらさぬよう雨戸を閉め切り、ほかの電燈はことごとく消してあったから、まるで洞窟の中でひっそりと生きているようであった。

 そうした夜半、又も敵機がやってきた。ラジオは東京に向って北上しつつあるのは一機だと報じた。一機といえども油断はできない。わたくし達はモンペと頭巾に身を固め、漆のような闇の中にじっと身を縮めて待った。焼夷弾投下に備えて、用水桶にも風呂桶にも常に水は満々と満たしてあった。

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  1. 2019/06/14(金) 10:10:50|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第三巻激流の巻

 やがてのこと、南の雑木林の方からグーングーンと地上の闇をかきわけるような響をさせて爆音が近づいてきた。音はいよいよおさえつけるような重圧感を帯びて頭上に近づき、腹の底まで圧迫したのち通り過ぎて行った。

 わたくしは雨戸を一枚あけて敵機を見送った。闇の沈んだ空に、ルビーのようにぽっかり浮んだ小さな光の玉が、重々しい爆音に引かれるようにして北に向って動いて行くのが見えた。恐らく関東北部の工場地帯を偵察に行くものと思われる。

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  1. 2019/06/15(土) 13:57:37|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第三巻激流の巻

 敵は我が領域をゆくが如く、悠々と飛行している。これまでの敵襲に、日本の飛行機が立ち向かっているのを見たことは一度もなかった。工場地帯の上空では、しばしば空中戦が行われているように報じられていたが、大泉の上空では敵機はあれど味方機を見ることはほとんどなかった。「航空力では完全にアメリカに引き離れてしまったなあ。夜を日についで増産を急いでいるそうだが、戦局に追いつかんということだ。中島製作所などではせっかく出来上っても、飛べない飛行機が大分あるそうだ。徴用工員が多いから、どうしても粗製乱造になるんだろうねえ。これからは飛行機がないと戦争できんからなあ。死闘だなあ、この戦争は」

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  1. 2019/06/17(月) 10:33:06|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第三巻激流の巻

 近ごろ兄はつとめて戦争については語らないようにしていたが、去年の暮の空襲のあと、しきりに飛行機の不足を託っていた。この上、飛行機製作所を片っ端から破壊されることになったら、いったいこれから先どうなるというのだ。

 爆音が消え空襲は解除されたが、寝巻に着替え床につく気にはなれなかった。敵は北に向ったまま、まだ日本の上空を飛んでいる。北関東から東に向って太平洋に出るか、再び東京上空にひきかえしてくるかわからないのである。わたくしも母もモンペを穿いたまま、寝床に潜り込んだ。敵機が日本を去ってしまうまでは、到底眠られそうにもなかった。

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  1. 2019/06/18(火) 13:35:28|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第三巻激流の巻

 秋田に帰ろうか、それともこのまま東京に残ろうか……数日来、去来していた迷いが又もや胸の中でのたうち始めた。母や兄はしきりに秋田へ帰ることを勧めているのだが、上京して一ケ月をへたのみで、のめのめと戸松の父母の元に逃げ帰っていく気にはなれなかった。東京に出てからも健康は衰えるばかりで、体重もぐんと減っていた。このまま帰れば善良な戸松の父母に心配をかけ、狼狽させるばかりだ。

 それに戦争の前途には敗北の色が深まっている。日本全土に亘ってしばしば空襲が行われるということは、近い将来本土の全面攻撃が開始されることを意味している。来たるべき時がいよいよ来たのだ。

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  1. 2019/06/19(水) 10:26:50|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第三巻激流の巻

 おそらくタイ国に行ったはずの戸松も、今頃は激戦地に出動しているに違いない。シンガポールに着いたという葉書が来ていらい、音信の途絶えること八ケ月に及んでいる。国家も夫も、生か死かの淵に立っているのだ。独り病身を労わってみたところで何になろう。

 母の枕辺からは深い寝息がもれて来る。武装したまま寝入ってしまったらしい。母には迷いがない。息子が東京に残るということが、文句なしに母を東京に定着させている。

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  1. 2019/06/20(木) 10:53:02|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第三巻激流の巻

 女の命というものは、夫や子の生に密着することを本能的に求めているものかもしれない。夫が死に直面しているならば、わたくしも又生死の岐路に立ってみずにはおられない。

 敵機が引返してきたらしく、はるか東の空を南下していくらしい爆音が響いてくる。この音との闘いが、これからの生活のすべてとなることだろう。

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  1. 2019/06/21(金) 16:00:20|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第三巻激流の巻

   人事と作戦の失敗

 度重なる敵機の来襲に、国民の生活が浮足立ち、食うこと、逃げることに心を労し、口をひらけば本土防衛の空軍の無力さを嘆いていたとき、軍の実体と戦況はどんなものだったのであろうか。

 サイパンの失陥後、重臣や政財界の首脳は、東条首相の退陣を要請し、東条の決戦主義から和平手段への方向転化を強く望んでいた。にもかかわらず、後継首相である小磯国昭には誰一人和平要請をつたえた者がいなかったというのである。

   (43 43' 23)

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  1. 2019/06/22(土) 13:37:23|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第三巻激流の巻

 前にものべたとおり、小磯大将は長く朝鮮総督の任にあり、戦力の衰頽の真相も、また戦局が致命的方向に動きつつあることにも迂遠であった。組閣後大本営から真相の報告を受けたとき、驚愕のあまり剣を撫して思わず立上ったというのである。

 報告の内容は、優先産業のトップである船舶が喪失した船舶四五〇万トンに対し、建造されたもの二〇九万トン、つまり失った半分も増産することが出来ないありさまであり、その他、飛行機、石油、鋼財等、それぞれ生産予定の半分しか実績があがっておらないという驚くべき数字であった。

   (43 43' 23)

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  1. 2019/06/23(日) 10:01:00|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第三巻激流の巻

 そしてさらに説明には「本年度(十九年度)は最低限度かろうじて充足しうるも、明年以降は希望もつあたわず」と告白し、「軍備品の在庫は皆無となり、武器をもたぬ軍隊の出現も遠き将来のことにあらざるべし」とのべてあった。米英撃滅を疾呼して、国民を必勝にかりたてている日本の台所が、ここまで行き詰まっているとは、大本営の一部の者いがいは、誰も正確に知らされていなかったのである。

 重臣や政財界の首脳達が、和平を要望し、戦争の終結を願っておりながら、いよいよとなると軍部の鼻息に圧倒され、怖れ、ついに小磯首相に政策の変更を求めなかった不甲斐なさにも、只々あきれるばかりである。

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  1. 2019/06/24(月) 20:05:50|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第三巻激流の巻

 昭和の日本は、当時も今も変わることはない。常にこうした無見識の腰ぬけ上部指導者たちが、右顧左眄しつつ保身と日和見主義の態度をはずることなく繰返し、日本をいよいよ混乱におとしいれ、ついには国家と民族を崩壊と衰頽へと導いていくのである。

 兎に角、このような無気力、無定見、無責任きわまる上層部を背景として、小磯首相自身も、軍人としての職分からぬけだしえず、自風のままに進軍の旗をふり続けたのであった。しかも、その戦争指導と国内施策は、不手際でのろくて、故障が多いというので「木炭自動車」とあだ名された。

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  1. 2019/06/25(火) 16:30:30|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第三巻激流の巻

 一方大本営では、サイパンの次に米軍が攻めてくるのはどこであろうかと、連日想像論を繰り返したが、敵の意中がわらろうはずがなかった。

 そこで、防禦地域を四つにわけて、第一号がフィリピン、第二合が台湾、南西諸島、第三号が本州、第四号が北海道と千鳥とし、第一号は、八月末までに、第二号、第三号は十月末までに作戦準備を完成するよう命令を発した。これを「捷号作戦」と読んだが、わたくしの三兄や弟は、この作戦に基づく大動員によって召集されたものであった。

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  1. 2019/06/26(水) 15:21:51|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第三巻激流の巻

 大本営はまず、フィリピンの戦略的重大性と危険性を重視し、その防御の強化をはかり、満州や中国の戦車師団、歩兵師団を、フィリピンに転送するとともに、航空基地の新設を急いだ。

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  1. 2019/06/27(木) 10:02:00|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第三巻激流の巻

 大東亜戦争では、各所において大本営と現地軍司令官との間に、作戦上の対立衝突があったが、ここでも黒田重徳中将は、フィリピンの全陸軍が、陸上戦闘の準備や訓練をすておいて、航空基地づくりに動員されることを痛烈に批判し、ついに罷免された。あらたに山下奉文大将が任命されたが、そういう人事の変道の間にも、敵は日本の作戦の機先を制して、九月一日から空襲を開始した。フィリピンの各基地はもとよりのこと、硫黄島、小笠原諸島、沖縄を連日猛爆し、わが航空戦力は次々と損害をこうむっていったのである。

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  1. 2019/06/28(金) 10:02:00|
  2. 永遠の道 戸松登志子著

第三巻激流の巻

 山下大将がマニラに着いたのが十月六日、参謀長武藤章中将がスマトラで任命をうけ、マニラに着任したのが十月二十日であった。これと前後して十月中旬、マッカーサーのひきいる大船団がレイテ島に向って北上し、二十日にはその主力が上陸した。開戦まもなく日本軍におわれ、コレヒドールを脱出してから、二ヶ年余ぶりの帰島であった。

 この主力船団百余隻が、レイテ湾内にあって上陸作業中、レイテなぐり込み作戦の命をうけた栗田艦隊は、途中敵潜水艦や機動部隊と苦戦をかさね、ようようにしてレイテ湾口近くまで北上してきたにもかかわらず、突如としてレイテ突入を取り止めて引き返してしまった。このとき既定どおり突入していたならば、恐らく敵の主力を全滅させていたに違いない。

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  1. 2019/06/29(土) 16:23:20|
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國 乃 礎

Author:國 乃 礎
   綱 領
政官財・癒着根絶
マスコミ横暴撲滅
国賊売国奴殱滅
現行憲法廃棄
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