爆音がきこえる度に兵隊達は右往左往しいたずらにそこここと逃げまわった。気休めに入れるような防空壕もないのだ。敵の機影をみながらじっとしていることは死ぬほど辛いことであったに違いない。
しかも、この逃げまわる兵隊の殆んどが、作業にあたっては身軽く仕事上手な連中であった。ことに平素、どんな高い地点でもどんどんかけのぼり、危ない架橋作業を平気でやるような兵隊が、不思議にも敵に向ってはまるで意気地をうしなってしまうのである。
反対に作業にかけては無能な将校が、敵機の下にあってはもっとも沈着で大胆であった。彼らはやはり、戦うべく訓練された人間であった。
(43 43' 23)
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テーマ:このままで、いいのか日本 - ジャンル:政治・経済
- 2018/07/24(火) 11:01:57|
- 永遠の道 戸松登志子著
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