六日目の朝、深い疲労と眠りから、ふと彼は眼を覚ました。こんなによく眠ったことはない、発熱いらいはじめての事だ。実に爽やかな気分だった。昨日までの五体が燃えているような熱さも、身の置きどころない気怠さも感じなかった。
戸松は額に手を当ててみた。やっぱり熱はなかった。五日間の高熱が、潮が引くがごとく下ったのである。死の淵まで引きづられながら、一夜の眠りの中に引き綱が切れ、生の岸へとおしかえされたのである。
(43 43' 23)
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テーマ:このままで、いいのか日本 - ジャンル:政治・経済
- 2019/10/26(土) 13:35:21|
- 永遠の道 戸松登志子著
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